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NHK大河ドラマ2010年代

NHK大河ドラマ[龍馬伝]Season2終了

投稿日:2010-07-12 更新日:

2010年NHK大河ドラマ「龍馬伝」は、昨日の放送で「SEASON2 RYOMA THE ADVENTURER」が終わりましたね。「ADVENTURER」?「冒険家」???

デジャヴ、デジャヴ、デジャヴ

「どうなるがですか?」「先生!」「先生!」・・・「先生!!」。これは神戸海軍操練所閉鎖の際、龍馬と操練所メンバーが勝海舟に浴びせた言葉。またもや他力本願な無能集団による、トップへの質問攻撃です。神戸海軍操練所ならぬ桜中学校の卒業式で、龍馬たちが勝・金八先生から贈られたのは、「君たちは私の希望である!」という、はなむけの言葉。クラスメイトたちは仲間との楽しい思い出を胸に、各々新たな道を歩むことになりました。さらば友よ、さらば青春よ・・・。ついに最後まで統率力を一切発揮することがなかった、なんちゃって学級委員だった龍馬は、帰る場所もなく、海に向かって叫びます、「ワシはどうすればええがじゃぁぁぁ」。あーあーあー、ここでも言うんですか。この台詞、何度目? イイ歳して情けないヤツ。アンタがどうすればいいかなんて誰も知らんがな。この雄叫び後、龍馬は岩崎弥太郎から幼馴染の武市半平太と岡田以蔵の窮状を知らされました。で、幼馴染を救うべく、龍馬は脱藩の身でまさかの帰国。「吉田東洋を斬ったがはワシじゃ!」と、呆れるほどの浅知恵で、無謀この上ない芝居をうちました。かえって半平太は精神的に追い詰められてしまい、とうとう東洋殺しを自白。この展開、始末に負えません。しかし、余計なことすな!などとは、優しい半平太は一言も言いません。むしろ龍馬のお蔭で大好きな大殿様と心が通じ合って嬉しそう。龍馬と半平太は、牢獄でまたもや手に手をとって、涙・涙・涙。あなた方、確か以前にも涙グズグズのお別れをしていましたよね。で、龍馬はこれまで以蔵の身もあんなに心配していたのに、今回の帰国では何故か以蔵には会わずじまい。半平太の牢獄に忍び込めちゃうぐらいなら、以蔵のもとへ行くのも朝飯前でしょうに、どうなっているんだか。そのくせ、ちゃっかり実家には立ち寄っており、お兄ちゃんに「縁切状」を差し出し、家族とも二度目のサヨナラ。おそらくドラマ終盤にも実家を訪れるのでしょうから、家族とは何回サヨナラをするつもりなのでしょうか。質問攻撃シーンにしても嘆きシーンにしてもお別れシーンにしても、そのほか和気藹々シーンにしても戦闘シーンにしても、この脚本は視聴者に既視感を持たせまくりです。たった数種類の場面をいつでもどこでも何度でも気軽にリサイクル。

龍馬、華麗にへんしーん!

そしてSeason2のラスト、幼馴染救出作戦に失敗した龍馬は、再び難なく国抜けし、陸奥や沢村らの前でついにあの名言を口にしました、「日本を今一度せんたくいたし申候」。ドラマ中の台詞は、「この国を洗濯することぜよ」、徳川政権下でこびりついた垢を落とすことが「ワシらのなすべきことぜよ」。これまでは「日本を変える」とだけ、時々ふと思い出したように叫んでみるぐらいだった龍馬が、かの名台詞とともに突如開眼。龍馬のあまりに唐突な御政道批判に驚き、何がどうなっているのやらと激しく混乱する私のような視聴者向けに、岩崎弥太郎による語りが入りました。「海軍を作るゆう夢を断たれ、盟友・武市半平太を失うてから、龍馬は人が変わってしもうたがじゃ」。アリガトウございます、まるで小学生用のマンガにでもあるような解説を。でも見たまんまのことだけを言われましてもねぇ。視聴者をバカにしてます? 挫折や友の死が、大事を成すにあたっての原動力になり得ることは分かります。しかしこちらが知りたいのは、龍馬がいつどこで知識や情報を仕入れ、自分なりに消化していたのかということ。垢って具体的に何? 洗濯発言のベースはどこにある? ちなみにリアル坂本龍馬が「日本を今一度せんたくいたし申候」と述べたのは、ドラマよりも一年半近く前の文久3年(1863年)6月、姉・乙女へ宛てた手紙の中ででした。幕府が朝廷に約束した攘夷期日に合わせ、唯一長州だけが攘夷を果敢に決行しましたが、なんとその長州と戦った外国の船を幕府が密かに修繕してやっていた事実が判明し、龍馬は幕府に激怒。そのときの決意を手紙に書いているのです。勝と出会った半年後には既に日本を洗濯しようという意識でいたわけで、リアル坂本龍馬は、勝に入門してから海軍操練所が閉鎖するまでの間に、江戸・大坂・越前福井・京などを駆け巡っては開明的な要人たちを訪問して強力な支持を取りつけたり、勝と共に長崎へ向かっては外国艦隊に長州攻撃をとどまらせるよう工作したりと大活躍。勝の門下時代に、思想や器や交渉力などを相当磨いたと察せられます。なのに「龍馬伝」の龍馬は、操練所連中と仲良く喚きながら訓練したり、師匠の忠告に逆らってまでお友達の心配に明け暮れたりしていただけ。史実に則り、とりあえず越前に行っても、子供の使い程度の印象。一藩勤皇を唱える半平太に対しては、「武市さんは間違っちゅう」と頭ごなしに子供じみた批判をするのが精一杯。龍馬はいつまでたっても、マイペースな甘ちゃん坊やのままで、大物志士に成長を遂げていく様はこれまで全く描かれませんでした。今回の突拍子もない龍馬の大変身については、Season1終わりの土佐脱藩時と同様、虚しく落命したどこかの志士の霊が、ヒマそうな龍馬を見つけて憑いちゃったのだと思うしかありません。まぁ霊も大したヤツではないのか、変身の仕方は表面的。どうせまた挙動不審のスッカラカン龍馬に戻ってしまうのでしょう。群像はおろか、一人の人間すら描くことのできないドラマです。

自己陶酔する制作陣、罪を犯す

私は大胆なフィクションや斬新な解釈が盛り込まれている歴史劇が嫌いではないのですが、それは言うまでもなく、登場人物たちがより魅力的にみえたり、歴史の面白さが感じられるならの話。「龍馬伝」は、感傷と暴力を中心とした、ド下手なフィクションに膨大な時間を費やすことに必死になっている、残念なドラマであるというだけではありません。知性と客観性を一切排除して描く「龍馬伝」の感傷や暴力は、単に制作陣自身がシーンのムードに陶酔したいがためのもの。ナルシシスティックにドラマ作りをしていると、偉人たちを畏怖することすら忘れてしまうのでしょうか、「龍馬伝」は偉人たちの名を悉く貶めていることに全く自覚がないようで、歴史ファンにこの上ない不快感を与える作品であるといえます。腹立たしいことに、ムードを巧みに利用した予告編だけは相変わらず良くて、Season3も、なんだかモノ凄く面白そうに見えてしまいます。けど、私もやっと学習しました。昨年末とSeason1の終わりに流された予告に引っかかり、二度とも無残に裏切られたのだから、さすがにもう期待は一切致しません。今回はキャストにも触れようと思って書き始めたのに、また前回と似たような愚痴に終始ししてしまいました。近々また。

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