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町田市立国際版画美術館[北斎と広重 きそいあう江戸の風景]

投稿日:2012-11-21 更新日:

町田市立国際版画美術館・開館25周年記念の「北斎と広重 きそいあう江戸の風景」展に行ってきました。町田市立国際版画美術館所蔵の作品とあわせ、日本各地の美術館や博物館からも多数やって来て、北斎と広重を中心にズラリ約400点。一度にこんなにもたくさんの浮世絵を観たのは初めてで、ワクワク大興奮でした。

風景画が浮世絵の主要ジャンルとなるまでの道

この展示会では、浮世絵の風景版画が葛飾北斎(1760~1849)と歌川広重(1797~1858)によって大成するまでの道のりを3部構成で辿っています。まず第一部は「江戸のまなざし」と題し、浮世絵が誕生した江戸中期頃の作品を通して、江戸の風景表現が発展していく様が紹介されています。洋風の浮世絵や、極端な遠近表現を用いた浮絵(うきえ)など、あまり馴染みのない珍しいものばかりで大変興味深かったです。第二部は、「風景版画の大成」。ここでは北斎の『冨嶽三十六景』と広重の『東海道五拾三次』という金字塔的作品を見ることができます。そして第三部は、「きそいあう江戸の風景」。風景画が浮世絵の主要ジャンルとして本格開花した江戸時代後期の、様々な絵師達による作品紹介です。

葛飾北斎の富士

今回私はどちらかというと広重目当てに訪れたのですが、意外や、北斎にバリバリ魅了されてしまいました。あの超有名な『冨嶽三十六景』の「神奈川沖浪裏」や「凱風快晴」を前に、金縛りにあったが如く立ち尽くしてしまいました。静と動を見事に対比させた、天才的としか表現しようのない、あの構図。得も言われぬ富士の美しさ。ものすごいオーラを放っていました。なんだコレは!画集で見るのと全然違うやん! やはり富士は日本人の魂。北斎の描く富士に思わず涙してしまった自分は、あぁ日本人だなぁとつくづく。

歌川広重と江戸の人々

で、広重はというと、うん、私、やっぱり大好きだなぁといった感じ。季節、時刻、天候のうつろい侘しさとおかしみ。単なる風景画でも風俗画でもない、広重の描く独特の世界を堪能することができました。今回は特に、『木曽街道六拾九次』を渓斎英泉の作品とともに鑑賞できたのが嬉しかったです。広重の作品をみていると、いつも江戸の人々の存在を強く感じるんですよね。街道が整備され、十返舎一九の『東海道中膝栗毛』がベストセラーになった頃、広重の名所絵でどれだけ多くの人々が旅することに憧れたか、とか。『東海道五拾三次』の次はどんな作品を広重に描かせて大ヒットを狙おうかと、あちこちの版元がさぞかし思案したのだろう、とか。

藍色の呼称

そうそう。浮世絵の風景画には欠かせない藍色についてですが、当時の絵師たちは、日本古来の顔料より深い色が出せるからと、舶来のベロ藍を使っていたのに、今や欧米では、それをヒロシゲブルーなんて呼び方をしているそうだから、面白いものですね。

あまりに感激しすぎて、つい図録を買ってしまったけれど、家でパラパラと見ていても、やはり何か違うんですよね。名画はナマに限ります。

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