NHK大河ドラマ1980年代

NHK大河ドラマ[独眼竜政宗]再放送スタート!其ノ参

投稿日:2010-05-09 更新日:

(「NHK大河ドラマ[独眼竜政宗]再放送スタート!其ノ壱」からの続きです。)

鳥肌モノ! 濃厚すぎる脚本

では、「独眼竜政宗」に登場する人々やシーンが、実際どんな感じなのかをここでいくつか。まずは、父・輝宗と息子・政宗が水入らずで語らう場面。父・輝宗は、激しい気性の我が子を織田信長と重ね合わせ、「末恐ろしくもあり、楽しみでもある。」と言い、「思う存分暴れて、天下を揺るがす男になれ」と、この上なくスケールの大きいエールを送ります。危なっかしい息子を大きな目で見、期待することのできるお父様です。我が子にこんな言葉をかけられる親がこの世に一体どれだけいるでしょう。脚本は、ここで政宗に突然弱音を吐かせます。「心は千千に乱れております。慢心はないか、過ちはないか、苦しみ悩んで悶々と夜を明かしております。」政宗がただの向こう見ずで、親にも平気で逆らう不埒者ではなかったことを視聴者に知らしめます。実は普段は無理して強気でいたのね、家臣の目がなければお父さんにこんなことを言う子なのね、お父さんを信頼しているのねと、視聴者はホロッ。「煩悩に苦しむのが人の人たる由縁じゃ。」と、父・輝宗は政宗らしからぬ発言に驚きもせず、叱りもせず、穏やかに受け止め、「されど武士たる者は、みだりに胸の内を見せてはならぬ。」とだけ付け加えて、武士の心得を説いてやります。デキた父親です。お父さん、カッコ良すぎ。そして父・輝宗は、政宗の闘志をかきたてるべく、家督を早々に譲った密かな理由を明かすのです。自分は情が絡み、親族だらけの周辺諸国を倒すことができなかったが、血の繋がりが幾分か遠くなる政宗ならば、「上方の武将のように完膚無きまでに敵を討つことができる」と思ったのだと。政宗の家督相続は、単純に家中の分裂を防ぐためだと思っていた政宗も視聴者もビックリ。「恐れ入りました。父上がそこまでお考えとは露知らず。」と政宗。視聴者も、政宗と一緒になって、改めて父の思慮深さに感じ入ると同時に、物事は常に多面的な見方が必要なのだと考えさせられもします。「いつまでもご健勝にあらせられませ。必ず京に上り、天下をとってご覧にいれます。」と目を輝かせる政宗に、父・輝宗は少しウルっときながら、「その心意気を忘れるな。」と答え、「敵の強きを見て恐れてはならん。敵の弱きを見て侮ってはならん。」と政宗に助言します。なんともまぁ台詞の一つ一つがいちいち奥深く、感動的で、二人の人となりと絆、武士らしさが深く汲んで取れる濃厚な会話です。父・輝宗が二本松城主・畠山義継に拉致され、政宗の目の前で惨殺されるという大悲劇の前にこんなシーンを持ってきて、予め視聴者の胸を熱くしておこうなんて、たまらなくSな脚本です。

登場人物たちの個性が光るセリフ! 激しすぎる展開!

次は、輝宗が殺された後のシーン。政宗は、父の亡き骸の前で、涙と怒りでボロボロ。「陣触れを致せ!弔い合戦じゃ!今夜のうちに出陣いたし、二本松勢を皆殺しにせねばならん!」と持ち前の激しい気性を爆発させます。政宗に同調する若い家臣もあれば、政宗をいさめる年老いた家臣もいて、場は混乱。この作品では、何かを決定しなければならない状況になる度に、ハイテンションで派手なやり取りが繰り広げられるのですが、これがいずれも鳥肌モノ。この人物はこの場合何を主張するのかと、一人一人に注目せずにはいられないほど人物の描き分けが丁寧で、しかも武士らしく熱い台詞が格好良いのです。ここでは年長の家臣たちの言い分が通り、戦よりも先に葬儀をすることになって、場は収まります。「大殿にあらせられましては、必ずや我らの守り神となり、二本松をば討たせて下さりましょうぞ。」という家臣の言葉と、冷たくなった輝宗の映像で、このシーンは終わり。さて一方、輝宗を殺した敵将・畠山義継も伊達に討たれてしまい、主を失った者たちが凄まじい怒りに震えています。敵方の家臣の一人が、「許しがたきは政宗じゃ。殿のご遺骸を切り裂き、罪人のごとく晒すとは、もののあわれを知らぬ犬畜生じゃ。」と泣き叫べば、また別の家臣は、「おのれ、かくなる上は殿の仇、見事晴らしてみせようぞ。政宗をとらえて八つ裂きにいたし、はりつけ柱に曝してくれる。」と悶えます。我らが主人公の政宗に対し、ここまで容赦なく憤怒する敵方の姿を描くというのは、ホントに凄い脚本です。殺された敵将の妻は合掌し、南無八幡大菩薩に静かに祈ります。「我に悪逆非道の政宗を討たせたまえよかし。」ドラマでは出番も台詞も少ない妻ですが、武家の妻たるに相応しいシンの強さを備えた女性であることが伝わってきます。このように、伊達側、敵側双方の強烈な感情を短いシーンの中に巧みに詰め込み、視聴者に立て続けに衝撃を与えながら、早くも次の展開を期待させる腕は見事というほかありません。こうやってみると、誰かが亡くなった後、残された者たちが死者の思い出に浸るシーンをクドクド流し続けることで、視聴者を沢山泣かせた、盛り上がったと満足しているような昨今の大河に、質の低下を感じずにいる方が難しいというものです。

もはや伝説! 「独眼竜政宗」のキャスト

最後に登場人物とキャストについて。この出来すぎた脚本を更に素晴らしいものに昇華させているのが、非の打ち所のない演技をみせる俳優陣です。主演の伊達政宗を演じているのは渡辺謙。今ではハリウッドスター謙サンも、この頃は若干28歳の無名俳優。けど、このときの彼の演技力は既にフツーではありません。体の奥底からマグマが噴出しているようというか、神がかり的というか。昨今の爽やかさとナチュラルさだけが売りの若手俳優サン達とは全く格が違います。また、あの雄雄しいルックス。黒の眼帯と武装が彼ほど様になる人もそうはいないでしょう。あれから20年以上経った今でも、「伊達政宗=渡辺謙」のイメージが崩れていないというのは本当にスゴイことです。謙サンをみる限りでは、真の実力があれば、知名度や年齢など問題にならないのだなぁと、つくづく思いなおします。さてそして、政宗の父・輝宗は北大路欣也が、母・お東の方は岩下志麻が演じています。有り得ないぐらい迫力の両親です。北大路サン・輝宗は、これぞ理想の父、理想の主というべき包容力と賢さを備えた完璧な男性。もう文句なしにカッコ良いです。岩下サン・お東は、他の大河では滅多にお目にかかれないタイプのお母上で、美しい烈女っぷりは極道の妻を彷彿とさせます。お東の兄で、政宗の叔父にあたる最上義光には原田芳雄が。尋常でない荒々しさと男クサイ色気がたまりません。原田サン・義光と岩下サン・お東の最上兄妹は、ホントに極道の方々のようです。政宗の忠臣、片倉小十郎を演じるのは西郷輝彦。上杉景勝にとっての直江兼続にあたる人物で、伊達家になくてはならない知将。確かドラマ中盤で、秀吉に有能さを買われてスカウトされ、断るはずですが、これをパクったようなシーンが「天地人」にもありましたね。「天地人」中の兼続の言動と色々比較することで、「独眼竜政宗」の素晴らしさがより分かります。政宗の従弟、伊達成実は三浦友和が。武骨さがめっちゃステキです。紳士服のイメージキャラクターをしている三浦サンしか知らない人には、伊達成実の三浦サンを是非とも見てほしいものです。それから幼少期の政宗の守り役で、後に政宗正室・愛姫の侍女となる喜多を演じるのは竹下景子。西郷サン・片倉小十郎の姉でもあり、弟同様、知性と忠義を絵に描いたような女性。ヒロインを支える優秀な侍女役は、他の大河でも結構登場しますが、竹下サン・喜多の魅力に敵う女性がどれだけいるでしょうか。政宗の師である虎哉和尚は、大滝秀治が。含蓄のある台詞が味のある演技によって更に深みが増しています。唯一無二の素晴らしい師匠役です。

再放送中の「独眼竜政宗」に現在出てきている他の出演者や今後登場予定の人々は次のとおり。遠藤基信:神山繁、 伊達実元:竜雷太、鬼庭左月:いかりや長介、鬼庭綱:村田雄浩、留守政景:長塚京三、正室愛姫:後藤久美子・桜田淳子、側室猫御前:秋吉久美子、豊臣秀吉:勝新太郎、北政所:八千草薫、淀君:樋口可南子、豊臣秀次:陣内孝則、石田三成:奥田瑛二、徳川家康:津川雅彦、徳川秀忠:勝野洋、松平忠輝:真田広之、五郎八姫:沢口靖子 、柳生宗矩:石橋蓮司・・・などなど、他にも萩原流行、佐野史郎、寺田農、音無美紀子、塩見三省、榎木孝明、高嶋政宏、鷲尾真知子、平田満、野村宏伸、宅麻伸、堤真一・・・・・・etc.と、豪華過ぎるキャストです。

「独眼竜政宗」は必ず見るべし!

歴史小説の大家・山岡荘八奇才の脚本家・ジェームス三木、超実力派の俳優陣、そしてその他素晴らしいスタッフの力が集結した「独眼竜政宗」は、まさに奇跡の作品です。これを見ずしてNHK大河ドラマを語るべからず、です!

よく読まれている記事

「メールなどで使ってみたい武士語ランキング」と侍JAPANアイキャッチ画像 1

NTTレゾナント株式会社が、gooリサーチの登録モニター1152人を対象に「メールなどで使ってみたい武士語」について調査し、先日、その結果を発表しました。第1位に輝いたのは、「かたじけない」。続いて、第2位「面目ない」、第3位「しばし待たれよ」、第4位「~でござる」、第5位「参上」、第6位「出陣!」、第7位「けしからん」、第8位「よきにはからえ」、第9位「いとおかし」、第10位「お主」。 武士語は ...

子連れ狼北大路欣也版アイキャッチ画像 2

北大路欣也主演のテレビ時代劇『子連れ狼』は、2002年から2004年にテレビ朝日で放送されました。原作は小池一夫・小島剛夕の同タイトル漫画です。私はリアルタイムで全シリーズをみて大ファンに。DVDの発売を待って待って・・・ついにネットで見つけた、「子連れ狼 DVD-BOX 2008年12月発売予定」の広告。詳しい案内を見てみると、若山富三郎主演の映画バージョンでした・・・うう・・・いいんだけど。今 ...

-NHK大河ドラマ1980年代
-, ,

Copyright© 戌ノ刻見聞録-AYAMEZUKI- , 2026 All Rights Reserved.